研究内容の紹介です


レーザ光を利用した熱流体の可視化計測

 室内の温度を快適に保つために,エアコンや各種のストーブが利用されています.一般に暖房や冷房は,何らかの方法で室温とは異なる温度の空気を作りだし,その空気が有する熱エネルギーや冷熱エネルギーを対流で室内に拡散することにより行われています.そこで,本研究では,空気の流れをコントロールすることを目的に,肉眼では直接見ることのできない流体の温度や密度をレーザ光を用いて可視化する方法について検討しています.

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レーザーホログラフィ干渉法による熱流体の可視化
過熱水蒸気乾燥や吸収冷凍機の研究において,熱風や溶液と伝熱面間の伝熱特性を明らかにするために,気流や溶液の流動状態の時空間的変化を詳細に調べる実験手法として,高出力のレーザー光を間欠的に発光できる本邦初のマルチパルスレーザーホログラフィ干渉法による熱流体の高速現象の可視化観察システム開発し,いろいろな流れを対象に可視化を行っている.現在,二次元衝突噴流の可視化を進めている.



レーザホログラフィ実時間干渉法を用いた温度場の可視化測定
(2次元非等温衝突噴流の可視化例.縞模様は等温線を示しています.縞と縞の温度差は約4℃.)


吸収式ヒートポンプの高性能化

 石油や石炭などの埋蔵量やこれら燃料の燃焼により引き起こされる酸性雨等が問題になっている今日,エネルギ有効利用の観点から,工業排熱を回収し再利用する種々の方法が提案されています.このなかで低質の排熱を利用し,電気エネルギをほとんど使わずに冷房や暖房を行う方法があります.このシステムを吸収式ヒートポンプがといい,近年注目されています.現在,臭化リチウムを用いた吸収式ヒートポンプの小型化・高性能化のための研究を行っています.

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吸収冷凍機吸収器の小型化・高性能化研究
非フロン空調方式として注目されている吸収式の冷凍機およびヒートポンプの小型・高性能化を目的に,最重要部分である吸収熱交換器を対象に,実験・理論の両面から,性能解析ならびに高性能化法について検討を行っている.これまでに,溶液流動状況の可視化観察・温度分布の詳細な測定から,局所熱交換特性,界面活性剤添加による吸収促進機構を明らかにするとともに,高性能吸収熱交換器開発の指針を示した.



吸収式ヒートポンプのしくみ


巨大な冷蔵庫の防熱

 食べ物などを冷やして保存するための巨大な冷蔵庫のような倉庫を,築造式冷蔵庫と呼びます.このような倉庫では,大量の断熱材で倉庫全体を覆い,冷めたい空気が外に漏れないようにしていますが,年月がたつとともに断熱材が場所により少しずつ劣化し,冷気が外に漏れてしまいます.そのような,劣化した場所を早期に発見する方法や,あるいは予測する方法についての研究を行っています.


環境創生型水施設

 都市空間は人工的な熱排出が大きく,また,その空間の地表面のほとんどが人工被覆物で覆われています.そのため,この空間での温熱環境は人間にとって耐え難いものになっています.そこで,本研究では,都市に存在する人工の水施設(公園などの噴水や池)を温熱環境の改善装置として積極的に利用することを提案し,その冷却効果について実験および理論の両面より検討しています.

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環境創生型水施設による都市微気象の改善
大都市においては,ヒートアイランドという言葉に象徴されるように,夏場の過酷な温熱環境が問題となっている.そこで人間と同等な大きさのミクロスケールの温熱環境改善を目的に,これまで景観形成のために都市内に設置されてきた人工水施設を冷熱源として積極的に利用するための研究を進めている.これまでに実地調査・風洞実験から,噴水など人工水施設の気流冷却効果を明らかにした.


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Last modified: August 6 2001