研究内容の紹介です


◇水でものを乾かす(過熱水蒸気乾燥・過熱水蒸気気流から低温材料への伝熱特性)

 衣類の乾燥や食品の乾燥など,日常生活に身近な例に見られるように,一般には,空気の湿度が低いほど物は良く乾くと考えられています.ところが,乾燥温度が170℃以上に高くなると,この常識が通用しなくなり,湿度が高くなるほど,定率乾燥区間(乾かしたいものの表面に水が存在している状態)における乾燥速度が大きくなります.そして,水蒸気100%の場合にその速度が最大になることが知られています.本研究では,その原因を,熱工学的な観点から調べています.

もう少し詳しく...
過熱水蒸気乾燥に関する基礎研究ならびに応用研究
 過熱水蒸気を乾燥熱風として用いる乾燥法の装置設計・運転方法の確立ならびに適用分野の拡大を目的に,基本的な伝熱特性,乾燥過程の現象解析,高温下での被乾燥物の変質機構,さらには新型乾燥機の開発に関する研究行っている.これまでに熱放射性気体としての過熱水蒸気の伝熱特性を明らかにするとともに,過熱水蒸気乾燥に特有な被乾燥物表面における熱風の凝縮現象の特性解明を進めている.また,過熱水蒸気噴霧乾燥機の開発を進めている.


◇過熱水蒸気および高温高湿度空気の工業的利用

  過熱水蒸気を乾燥などの工業プロセスにおいて熱風として用いると,高温空気を用いる場合とは異なり,排気を循環利用することにより高い熱効率にできる可能性があります.また,酸素などの気体をほとんど含まないことから,空気中での処理と比べて異なった製品が得られます.しかし,空気を熱風に用いる方が,良い製品が得られる場合もあります.本研究では,放射伝熱・対流伝熱・伝導伝熱・気流の湿度や温度条件を検討することにより,より良い製品をより安く,さらに環境負荷の小さい方法で得ることを目的として,さまざまな用途を対象に研究を進めています.
 たとえば,食品加工に過熱水蒸気を利用する場合の研究例では,ジャガイモを高温空気および過熱水蒸気中で乾燥させて,表面の状態,色や形状,成分の変化についてそれぞれを比較しながら実験的に調べています.特に成分の変化と食品加工への有用性については,本学生活科学研究科との共同研究で進めています.また,その乾燥過程のシミュレーションの開発を行い,実験を行わずに結果を予測することにより,目的とする製品を得るためのよりよい方法や条件について調べています.


◇金属多孔質材料による高性能乾燥機の開発(乾燥装置の小型化・高性能化研究)

 流体が透過することのできる金属材料があります.内部に小さな空隙が均一に存在する材料で,金属多孔質材料の一種です.いろいろな利用法がありますが,当研究室では,この材料の溶接や切削など加工性が高く,温度変化に強く,また機械強度も高いことなどから,乾燥装置の壁材にうまく利用することで,非常に小型でエネルギ効率の高い乾燥機の開発を目指しています.



円筒状の金属多孔質体


熱研ホームページへ
無断での転載を禁じます.ご質問等はSTAFFまで.
Last modified: September 15 2001